MAKIGINU


          


    出演者           シテ・・・・・・・巫女
                 ツレ・・・・・・・都からの使者
                 ワキ・・・・・・・勅使
                  アイ・・・・・・・勅使の供人

                     


    
舞台となった場所     紀伊国熊野 (和歌山県東牟婁郡本宮町)

  ある冬の夜、当時の皇帝がとても不思議な夢を見ました。その夢のお告げにより、

 三熊野神社に奉納する為の千疋もの巻絹(反物)を諸国から集めるようにと勅命が下りました。

 そして、熊野に向かった勅使(ちょくし)が各地から集まって来た巻絹を取りまとめてみると、

 未だに都からは届いておらず巻絹を持った都の使者が来たら直ぐに知れせるようにと言い、

 今か今かと待ち続けているのでした。

  その後、都からの使者が大急ぎでやって来ましたが、熊野へ着くと直ぐに音無天神

 (おとなし)に参拝し、その時咲いていた梅の見事さに見とれて、和歌を一首読んで神前に

 供えました。そしてその後勅使の元へ巻絹を持って行きました。が、勅使はそんな遅れて来た

 使者を非難し、罰として縄で身体を結わいてしまいました。

  するとそこへ、音無天神の神霊が乗り移った巫女が現れました。その使者は音無天神へ

 和歌を手向けた奇特な心の持ち主なので、いましめを解く様にと告げましたが、勅使は

 この使者に和歌が読める訳がないと、お告げを信じませんでした。すると巫女は使者に

 「音無にかつ咲きそむる梅の花」と上の句を読ませて、巫女はその下に「匂はざりせば誰か

 知るべき」と続け、その和歌を証拠にいましめを解かせました。

  そして巫女は、和歌の良さや経の威力を語ると勅使の求めにより、神楽を舞うのでした。

 すると数々の熊野の神が、巫女にやどり物狂いの状態となってしまうが、神は突然に去り

 巫女は本性に戻るのでした。




  多くは後場から鬼になったり、神が宿ったり本質を現したりと言うパターンであるが

 この曲目は、シテが途中から神がかりになるのではなく、最初から神がかりの状態で、

 舞いを舞うところに特徴がある。その後、数々の神が巫女に乗り移り、物狂いの状態で

 舞う場面は、テンポの良さが印象的。


  使者が天神の前で手向けた和歌は、巫女と共に勅使に披露するのだが、観客にはその時まで

 伏せられている。また、しばられた縄をシテが解いてワキへと投げるという仕草などが劇的な

 演出になっている。

  最後の、巫女に乗り移っている神々が突然と去って行き、本性に戻る変わり目が本曲の

 面白味を増している。

  女性役で水衣(シテが着ている白い装束)の上から腰帯を巻いている姿は、この曲目

 特有の格好である。




 


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