MOTOMEZUKA

                 

                                       



        出演者           ワキ・・・・・・・・・旅の僧
                     ワキツレ・・・・・・・同行の僧
                     前シテ・・・・・・・・里女
                     ツレ・・・・・・・・・里女
                     アイ・・・・・・・・・所の者
                     後シテ・・・・・・・・
名日処女の霊

          舞台となつた場所      摂津・生田(神戸市中央区

                 

 

   早春のうららかなある日の事、西国の僧達が旅の途中で摂津国生田
(せっつのくにいくた)の里

  
にやって来ました。するとあちらから里女達が若菜摘みにやって来たのでこの辺りの生田や

  古歌にも名高い求塚の事を尋ねると、生田の森や生田川などについては語ってくれるものの

  求塚については「知りません」と答えるばかりで、「そんなつまらない事は聞かないで下さい」

  と言いながら忙しそうに若菜摘みを終えて帰ってしまいました。

   しかしそんな中、1人の里女だけがその場に残り僧達を求塚へと案内し、その塚にまつわる

  悲恋の話しを語るのでした。聞いてみると、昔この地に住む名日処女(うないおとめ)

  
言う女性が小竹田男子(ささだおのこ)と血沼の大丈夫(ちぬのますらお)と言う2人の男から

  
求愛され、どちらを選ぼうか迷った末に、生田川の鴛鴦(おしどり)をみごと討ち落とした

  方に・・・・
と決心したそうです。が、2人の矢はともに一羽の羽に当り勝負が付かず

  悩みに悩んだ
莵名日処女は遂に入水してこの世を絶ってしまいこの塚に埋められました。

  2人の男は彼女の後を追って塚の前で互いに刺し違えこの世を絶ってしまったのだと言う事

  でした。話し終えた里女は、自分こそその莵名日処女の亡霊でありこの罪から救って欲しい

  のだと頼むと里女は塚の中に消えて行くのでした。

   僧は来合わせた所の者に今の話しを確かめると、先程の亡霊を弔おうと塚の前で夜もすがら

  弔っていると塚からはグッタリとした莵名日処女の霊が現れ、2人の男や彼らから矢を放った

  鴛鴦から責め立てられ、身を焼かれている様子や八大地獄の苦しみを僧に訴え、闇夜をさまよい

  ながら再び求塚へと消えて行くのでした。


  

  

  この曲目は内容があまりにも悲惨な為に多くの流派が演じる事をしなかったと言われていが、

 観世流では1951年に復曲された。金春流ではつい最近の1991年に復曲となっている。

  若い里女達が若菜摘みをしていた華やかな状況から、1人の里女だけがその場に残り求塚

 のいわれを語っているうちに「ある女性」の話しをしていたはずが、突然「その時わらは思ふよう」

 と言う言葉を堺に自分の話しになって行った。等と次第に不気味さが増して来る。

  地獄では逆さ釣り(足上頭下
そくじょうずげ)にされていたり、矢を放たれた鴛鴦から

 脳みそをつつかれたり、住まいは火まみれで(火宅
かたく)柱を触る事も出来ない等の苦しみが

 ある事を訴えるが、最終的には供養をされて成仏出来て姿を消して行く内容の能が多くある中、

 この曲目はまるで救いがない。女の優柔不断さが招いた罰であるにしては罪が重い。

  今も昔も優柔不断で良い事はないようだ・・・・。多数の異性から誘いがあった場合は

 サイコロかあみだくじで決めた方が吉!選抜方法がバレたら大凶だが、まずは一時に数人からの

 誘いを受けてみたいものである・・・・?
 

 

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