SHUNKAN

            

      
         


    出演者           ワキ・・・・・・・赦免使
                 ツレ・・・・・・・平判官康頼
                 ツレ・・・・・・・丹波少将成経
                  シテ・・・・・・・俊寛憎都
                 アイ・・・・・・・
船頭
                     


    
舞台となった場所     九州 鬼界ヶ島(鹿児島県大島郡喜界島)

  九月のある秋の事、平清盛の娘が天皇の子を授かった事で皇子の誕生を願い大赦があり、

 赦免使(しゃめんし)が罪を許される者の名が記されている赦免状を持って南の無人島である

 鬼界ヶ島(きかいがしま)へ向かいました。


  以前よりその島には、平家を倒そうとする陰謀が発覚して俊寛憎都・平判官康頼・

 丹波少将成経の3人が罰として流されており、その日もいつものようにこの島に
勧請した

 熊野三社へ康頼と成経の2人は参詣に行きました。ところが俊寛だけはお参りをすることなく

 2人の帰りを待っているのでした。

 お参りから戻った2人は俊寛と共に、谷川の水をお酒と見なして飲み交わし昔を思い返しながら

 今の境遇を嘆き悲しむのでした。

 突然そこへ都から赦免使の船が島に到着し、俊寛は赦免状を受け取ると康頼に読ませました・・・・・・

 が!!なんとそこには俊寛の名前がありません。驚いた俊寛は誤りではないかと自ら赦免状に
 
 目を通します。隅から隅まで、そして裏面までも。 やはり俊寛の名は何処にも記されていません。

  皆で居ても恐ろしく不気味なこの島に独り残されては生きて行けない程の恐怖感と絶望感で

 俊寛は我を忘れて嘆き悲しむのでした。

  やがて赦免使は2人を船に乗せ岸を離れ様とします。どうしても飽きらめ切れない俊寛は

 せめて向こう岸まで連れて行って欲しいと頼み、無理やり船に乗り込もうとするが船頭に

 
で打たれそうになり乗り込む事が出来ません。

 今度は足元にあった艫綱(ともづな)に取りつきますが、無情にもその綱をも押し切られて

 しまい、船は出て行ってしまいました。

  独り島に残された俊寛は、どんどん遠く離れて行く船をいつまでも見つめているのでした。


  この曲目は、劇的な要素を多く取り入れており異色の能として知られている。
 

  俊寛は華やかであった昔の生活から一転して、孤独と言う極限状態に追い込まれる訳だが

 刻々と移り変わる心境の変化は、見ている我々を引き付ける力がある。それはきっとこれ程まで

 ではないとしても、「喜びから一転して地獄の底に突き落とされる」と言った悲しみや絶望感を

 誰もが遭遇する可能性があるからではないだろうか。その心境は今も昔も変わらないだけに

 受け入れやすい曲目であろう。

  俊寛一人が島に残されてしまう場面では、舞台上を島、橋掛りを海と見ており舞台構成が

 立体的になっている。

  その後、艫綱を切られる場面では彼の人生そのものが艫綱と共に無情にも切られたと

 さえ思え、彼の
心情を痛いほど伝わって来る。

  実在していた男役は、面を着けない(直面
ひためん)と言う原則があるが、この場合

 「俊寛」と言う名の付いたこの曲目にしか使用しない面を着ける。他の面では彼の人物像を

 表現する事が出来ない程、個性の強い男であったと言えよう。

  






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