YOROBOSHI

出演者 ワキ・・・・・・高安左衛門尉通俊
アイ・・・・・・通俊の供人
シテ・・・・・・俊徳丸
舞台となった場所 摂津国天王寺(大阪市天王寺の四天王寺)
時は春の彼岸の中日、河内国(大阪府)高安に住む左衛門尉通俊は、我が子の俊徳丸がある人に
中傷された為、高安から追放した事を悔み、難波の天王寺でこれからの彼の幸せを願って施行を
行っていました。するとそこに悲しみのあまり盲目となり、「弱法師」と呼ばれるこじきと
なってしまった俊徳丸が、施行を受けに来ました。
俊徳丸は、梅の香りの様に澄んだ詩の心を持っており杖を頼りに立ちながら仏教最初の寺院で
ある天王寺の由来を語りました。
通俊は我が子である事に気付き、人目に付かぬ様夜になったら父親である事を名乗ろうと
決め、極楽浄土に向かっている天王寺の西門に沈む夕日を拝む様に勧めるのでした。
弱法師は見えはしないが夕日に向かって手を合わせ、昔歩いた難波の風景を思い浮かべながら
杖を付きながら狂じて歩き廻ります。しかし行き違う人にぶつかり、俊徳丸は自分が実際には
心眼が開いた訳ではなかったのだ、という現実に引き戻されて歩き廻る事を止めてしまいます。
夜も深け、人影が無くなった所を見計らって、通俊は弱法師に父である事を
告げるとこじき姿の弱法師は恥ずかしがって逃げようとしますが、父に引き留められ父子は
やがて手を取り合って故郷の高安の里へ帰って行きました。
俊徳丸の持つ杖は盲杖と言い、普通の物よりも長めです。杖は身体を支える為、
垂直に付きますが盲杖は前に出して付くので、その分長くなっています。
俊徳丸が、西門の鳥居に見立てたシテ柱(左奥の柱)を杖で探り触れる所は、
柱を上手く利用して表現していると思います。
杖を細かく付きながら足早に歩いたり、落とした杖を手探りで拾ったりと写実的な場面も多い
のですが、杖の付き方で左右に突きながら進むのは観世流だけのようなのです。
他流は前後にチョンチョンと突くそうです。
俊徳丸が舞う場面は笛に合わせて舞台を一巡するだけの静かな舞で俊徳丸の姿が
とても情緒深く見えます。
恥ずかしさのあまり、狂ってしまう場面が本曲のクライマックスとなります。