
YOSHINOTENNIN

出演者 前シテ・・・・・・・里女
後シテ・・・・・・・天人
ツレ・・・・・・・・天人
ワキ・・・・・・・・都の人
舞台となった場所 大和・吉野(奈良県吉野郡吉野町の吉野山)
3月の初春の頃、毎年あちらこちらの花見に出歩く都の人が
今度は、若い人達を連れて吉野の山にお花見をしに行く途中の事でした。
昨晩降った雨のせいで、色が鮮やかに見える美しい花々を見ながら旅を
していた為、一行は思いのほか早く吉野の山に辿り着く事が出来ました。
そこへ一人の里女が現われました。都の人は、吉野の花の事を聞いて
是非見たいものだと思い、初めてこの山に登って来たという事を話すと
その里女は、この辺りに住んでおり一日中花を友達のように思いながら
野山で暮らしているだけの者であると言いしまた。里女と一行は同じ
心持である事を喜び、一緒に花見をしているうちに仲良くなりました。
都の人は、このように家へ帰る事も忘れて花見をしている里女を
不思議に思い、その事を尋ねてみると・・・・・実は里女は天人であり
花の美しさに引かれてここへ来た事を語るのでした。信心したならば
今晩、あの昔の五節(ごせち)の舞を見せてあげるので、月夜の遊楽
が始まるのを待つようにと告げて、姿を消すのでした。
そして日が暮れた吉野山では、何処からともなく音楽が聞こえ出し
霊妙な香りが辺りを包み、桜の花びらがヒラヒラと降って来ました。
すると5人の天人が姿を現し、雲の上から聞こえる琵琶や琴などの音色に
合わせて、軽やかな袖を春風にひるがえしながら花に戯れ華麗に
舞を舞うのでした。